BOSS Enhancer (EH-2)



EH-2
BOSS Enhancer (EH-2)

BOSS史上最も地味なエフェクターと評判のEH-2。
90年代初期の作品ですね。


しかし、葛城的には最も使い甲斐のあるエフェクターといえる。

まず、このエフェクターが何なのか?を理解しないとどうにもならない訳であるが、ちょっと難しい。

音の仕組みが、ある程度分かる人間でないと使えない。

エフェクターにも様々ある訳ですが、例えば歪み系はいうなれば“過入力”にすればオーバードライブになる。

更に過入力にすればディストーション。ザックリいえばそういう訳だ。

コーラス系は音の出るタイミングをちょっとだけずらすと、何故か爽やかサウンドになる事を利用したエフェクター。

で、ディレイは更に遅らせる訳だね。やまびこ効果となる。リバーブも同じようなもんですけど、リバーブの場合は残響をいじるエフェクターな訳です。

コーラスやリバーブ、ディレイは空間系エフェクターと呼ばれます。

空間系でも、@コーラスとAディレイ、リバーブは分けて考える人もいる。なのでコーラス系という言い方もアリかな?

さて、前置きが長くなりましたが、このエンハンサーとは何なのか?英語でenhanceとは“高める”の意味。(笑)

そう。確かに高めます。

何を高めるのか?それがこのエフェクターの難解な点。

で、最初に戻りますけど、音というのは周波で成り立っています。周波というのは振動の塊というか流れと言っても良いかも。

単純に1つの音と言いますけど、音というのは1つの周波だけで成り立っている訳ではない訳で、例えていえば三つ編みというかそんな感じで、いろんな成分が絡み合って1つの音になっている訳です。

それで、いうなれば、“三つ編みの3つのうちの1つをいじってやろう!”というのがこのエンハンサーという訳です。

三つ編みとは、
髪を3つに束ねて編み込んでいく訳ですけど、普通は3つが均等になるようにすると思います。

間違ってはいけないのは、エンハンサーは右の束を大きくとか、左の束を大きくというふうに操れるエフェクターではありません

それはグラフィックイコライザーの仕事です。エンハンサーもグライコの仕事に近いといえば近いですが、
エンハンサーはあくまでも“三つ編みの3つのうちの1つをいじってやろう!”という効果です。(笑)

え?そんなの意味あるんですか?と思うでしょうが、ま、使いようによっては使える訳ですよ。

そんな点が地味な訳です。派手さはありません。が、非常に面白いと感じるのは葛城だけか?(笑)

中央のFREQのツマミがフリケンシーですから周波帯ですね。

で、右のSENSは掛かり具合。

そして、左のツマミがMIX、ミキシングですね。
右に回すとノーマル。左のINVがインバータの略。インバータとは逆位相の意味ですね。

基準の周波があって、その周波に“対して”同じように周波を重ねるにはツマミを右に。反対に周波を逆に出すには左に回す訳です。

(グライコは指定した帯域を単純に加減するのに対し、エンハンサーは指定した周波帯に、いわば“重ねる(高める)”という違いがある。

減らす事はしない。正相に重ねる事も出来れば、逆相に重ねる事も出来る。)


で、センターの位置ではエフェクターの効果はゼロになる。なのでMIXは右か左に振ってないとこのエフェクターは意味が無い。音が痩せるという効果はあるか・・・。(笑)

周波を逆に出すという事は自然界では在り得ない現象な訳ですね。ある周波に“対する”周波なんていうのは人為的な作業がないと発生しない訳で。

それで、ある周波に対して、周波を逆に発生させるとどうなるか?というと、不思議な事に互いに打ち消しあってその周波は“消える”のです。

周波が消えるという事は音が消えるという結果になる訳ですね。
カラオケ機能というか、ヴォイスキャンセラーの機能はこの原理を応用している訳です。


ボリュームや、ある周波を“絞って音を消す”という考え方ではなく、周波の特性を利用して音響を変化させるという一癖あるこのエフェクターは葛城好みです。あくまで自然に変化させる訳です。

また妙な例えを出すなら、“スイカに塩を振り掛けると、何故か甘くなる”というあの原理に似てます。

ま、あまりに効果が絶妙過ぎて、分かり難いですが・・・。

派手さも無いし。黄金聖闘士でいうなら、スコーピオンのミロのスカーレットニードルみたいなもんですよ。
“外見の傷は針の一刺しに過ぎないが・・・”的な。

でも、EH-2は本当に針の一刺しだったりして・・・。(笑)
やってる事は高度なのに、理解されないエフェクター・・・。(涙)

クリーン系ギタリストなら分かりやすいかも。



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