NF13AのCDIについての考察

ネット上で色々妄想が語られるNF13AのSP CDIですが、やはり、“きちんと確認”する事で悩みが解決しますね。

最近、ヤフオクで
スガノチャンバーと、スガノD50 CDIを購入しました。えらく競りましたが、まあ仕方ないですね。モノが無いですから。

スガノというのは、90年代初期にNF13Aのスペシャルショップだった東京のお店です。今は残念ながら閉店されていますね。

それはさておき、今回欲しかったのは32900-19D50 のCDIです。SP CDI と呼ばれていますね。

ネットの情報ですと、D51はAVガス仕様である為、安全策でD50を探していました。・・・。が腑に落ちない。




本当にD51はAVガス仕様なのか?


分からない時は、製作者に尋ねる。これが全ての基本です。という事で


SRSスガヤさんに尋ねてみました。
スガヤさんのA氏から、ご丁寧にお電話頂きました。





Q まず、D50と、D51の差は何ですか?
仕様がAVガスとハイオクの差とネットで言われていますが?


A 正確には昔の資料が無いので解りかねますが、社長に問い合わせてみたところ、AVガスCDIというのは作るには作ったけど数える程しか作成していないので、市場に回る量ではないです。
(そうすると、D51はハイオクCDIという事になりますね。)スガヤではCDIそのものを作る訳ではなく、メーカー(スズキ)に依頼を出して作ってもらう訳で、CDIの中身の基盤データを把握している訳ではなく、大雑把に「これこれこういう仕様にしてくれ」と注文するだけなので。



Q SP CDIの効果としては?


A SP CDIは250Γ用もそうですが、SPチャンバー装着により発生するトルクの谷や排気デバイスの作動するタイミングを滑らかにする為のモノです。


という事でした。スガヤさん、ありがとうございました!

ちなみにAVガスというのは超ハイオクなガソリンで、ハイオクというのは“燃え難い”ガソリンです。ハイオクは燃え易いのではなく、燃え難いのです。

燃え難いので、シリンダー内部にまで到達して着火するので、当然レギュラーガソリンと点火タイミングが違います。

ハイオクとレギュラー程度の差だと、そうまで日常使用では変化が無くても、レースで高回転を使用する状況では、AVガスとレギュラーのオクタン価の差は致命的です。

したがって、AVガスCDIで作り出した点火タイミングに、レギュラーガソリン入れて高回転を常用使用すると、デトネーション(異常燃焼)が発生して、ピストンが溶けたりします。

オクタン価というのは、燃え易い燃え難いという問題なので、大げさに言うなれば軽油とガソリンの差な訳で、メインジェットの燃料を濃くして対応とか、そういう問題ではない訳です。

ちなみにガソリンと軽油では、軽油の方が「燃え易い」ですよ。

軽油(オクタン価無し。あえて言うなら10ぐらい)→レギュラー(オクタン価90ぐらい)→ハイオク(オクタン価95以上)→AVガス(オクタン価100ぐらい)の順で右に行くほど燃え難い訳です。

そういう訳で軽油をガソリン車に入れると壊れる訳です。そんなの困りますよね。安心して走れないではないですか。なのでそのCDIが何用なのかは重要な問題なのです。

今回のお話しでは、D50とD51の差が何なのか?これは残念ながら正確には分からなかったのですが、スガヤさんのお話しを信用して




“D51はAVガス仕様ではない”
というのが葛城の答えです。おそらくどちらもハイオク仕様のCDIでしょう。更にスガヤさんから貴重な情報を頂きました。



「随分昔の話なので思い出すのも大変なのですが、私が最後に発注した時には、フライホイールを一緒に送った覚えがあります。」

との事でした。
フライホイールというのは、慣性の法則を利用した機能ですけど、軽量化したらエンジンレスポンスは良くなる反面、トルクは落ちるというバランスの難しい機構です。

勿論、点火タイミングも変わりますので、ここを変更すると車両のバランス調整はイタチごっこになります。

ですが、フライホイール変更がもたらす恩恵も大きい訳です。当時は、スペシャルフライホイールがスガヤさんから発売されていたという。

そして、フライホイールはCDIとセットになっていたという情報を頂きました。そこで、葛城はさらにスズキのスペシャルパーツショップ部門の




“オートリメッサ”さんに確認をしてみました。
ここでも、D50とD51の差について尋ねましたが、30年前の話なので、既に開発者が退社されておられ、情報は分からないという事でした。
しかし、ここでも、

「AVガスとハイオクという
仕様に大きな変更があるにも関わらず、CDIの番号が1つしか変わらないというのは在り得ないのではないか?」

という貴重な情報を頂きました。確かに32900-19Dの部分、ここは同じな訳ですからね。更にCDIの種類について尋ねましたら、



☆ 32100-19D20(点火信号用突起2個)

☆ 32900-19D52(レース用)

☆ 32100-19D40(点火信号用突起1個)

☆ 32900-19DE0(後期型純正。サイドスタンド制御付き)

☆ 32900-19DL0(レース用)

☆ 32900-19DM0(レース用)



と、様々なCDIがありました。興味深いのは32100の番号。これは、フライホイールとセットで発売されていたCDIとの事でした。
したがって、


D50とD51の差。これはほとんど無いと考察出来ます。まとめますと、カスタムする時は、



@SPチャンバーに交換したなら、CDIもセットで交換。

Aノーマルのチャンバーのままなら、ノーマルCDIに戻す。


SP CDIへの交換で変わるのはSPチャンバー交換による出力特性の変化に対応する点火タイミングに変更する為なので、
いわゆる“イチ削り”の場合でもノーマルに戻すのが安全と考えます。
イチ削りでも出力特性はノーマルチャンバーと同じですので。(当然馬力は出ますけど、特性は同じです。)

そして、


BハイオクCDIに交換したなら、燃料にはレギュラーではなく必ず“ハイオク”を入れましょう。


CDIを交換してエンジンが壊れるのは、CDIの特性が車両の特性とマッチングしていないのがほとんどではないかと考えます。

勘違いしてはならないのは、

SPCDI交換では最高速は変わりません



“素材に合ったカスタムを”という事ですね。



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