TZR250(2XT)


ヤマハパラレルツインの集大成!
88年TZR250



88年といえば、ドラクエⅢが発売され、ソウルオリンピックで鈴木大地選手がバサロを決めて金メダルを獲得し、タマモクロスとオグリキャップが勝負をしたあの年です。

バブル絶頂の頃。最も日本が輝いていた時代でしょうね。拝金主義な時代といえなくはないバブル時代ですけど、昔の職人が持つような良さが残っていた時代でもありました。

‟悔しい思いをしながらも頑張ってきたから、今の繁栄があるんだ”みたいな。そういう時代。

90年代になると、ちょっと違うんですね。なんというか、閉塞感が出るんです。
たった数年の差なんですけど、違いが明らかに感じられる…
それだけ88年は今思うと激動の時代でした。いろんな意味で。

リアルタイムでは、私はその頃中学生でした。子供だったので余計にそう感じていたのかも…既に時流に乗り遅れていたのか?笑

バイクで88年といえば、なんといってもNSR250R、通称MC18が最も有名でしょう。

この頃は2ストローク250が最も盛り上がった時代で、その中で覇者となったのは間違いなくNSRでした。

なぜNSRが覇者となったのか?といえば、ホンダだったからでしょう。F1にしろ何にしろ、その頃のホンダの勢いは凄かった。

本田宗一郎氏がまだご存命だった時代。イケイケドンドンの時代…

規制が緩かった時代、社会が寛容だった時代。日本が経済的に強かった時代、新しいモノに興味があった意欲的な時代、最も世界一を目指した時代。24時間戦えますか?とか普通に言ってて、過労死する時代。

そんな時代に、単車に限らず、良いものを作ろうと熱くて真面目な職人が拘っていろんな製品を世の中に送り出した。

まあ、今の時代では無理と思います。
人間の質が違う。作る方も買う方も。
それを嘆いたところでどうにもならないですが。

ただ、確かに魂を込めて作った良いものというのは、出来上がったものを味わってみれば、気持ちが伝わる。時代によって風化するものではなく、単純にそれが分かる。

「ああ、これ良いな、なるほどな」と。

性能云々というより、感覚的にそう伝わる。

そしてヤマハが送り出した究極の単車、それが88年TZR250 2XT である。

前述のMC18NSRが88年では有名な訳ですが、それはホンダがPGMという電子制御のキャブを搭載させ、配線を少し変更させるだけで、実測では自主規制値の45馬力を大きく超えて65馬力程のエンジンパワーを出せるという反則に近い方法をやってのけた功績によるものが大きい。

それをやってのけたホンダは凄い。(笑)

そしてとにかく過激。フロント17インチに、リア18インチ。ただ過激に走るために作られたマシン。

しかし、ホンダだけが悪い訳ではない。スズキも過激路線を進んでいた。…というか、火を付けたのはスズキ。RG250Γですからね。

フロント16インチのリア18インチで、‟コーナーは突っ込んで急激に曲がれ”という思想。直線では安定性がいまいちで、ジャターが発生する。
スズキの88年といえばRGV250Γ(VJ21)ですけど、フロント17のリア18で、改良はされたけど、思想的には同じ。‟曲がるじゃなくて曲げる”という乗り味。

同年代のこういった特性を持つ車両と比べて、ヤマハTZR250は何と乗りやすいのだろうと。

2XTにしろ、その前期モデルの1KTであったにしろ、王道はこれだよな!と乗ればすぐ思えます。

なにしろ素直で、ヒラヒラ曲がる。癖が無い。平たくいえば乗り易い。

軽いし、それでいて上まで回せば普通に速い。エンジン中低域のトルクが薄いか?といえばそう言えなくもないけど、2ストロークの特性という点を考えると、むしろその方がよい。

トルク在り過ぎて低速域でギクシャクするよりも回した時に答えてくれる特性の方が走っていて楽しい。

ある意味中低速を充実させるのであれば、メイトでよい。(笑)

味付けの問題。常用域ではメイトは良いですけどね。
やはりメイトはビジネスバイク。スポーツバイクではない。高回転域を使って走っても別に楽しくはない。

しかし、そういう点,、エンジンフィーリングが2XTは素晴らしい。葛城的には100点。欠点が無い。

いろんな単車、バイクに乗りましたが、スタイル性能云々ではなく、
乗って楽しいと思えるか?

今の所、このTZR250がその点で最強です。

葛城は前期の1KTには乗って無いですけど、いきなりの改良型2XTでも、洗練されている感は分かる。

1KTとの違いは僅かですけど、エンジンフィーリングの質感が良いのは分かる。おそらく1KTはもう少し、がさつなんだろうなと。

そしてウルフ125で学んだ点でもあるのですけど、リアタイヤサイズが120から130に少し変わるだけでコーナーでの安定感が激変する訳で、この点でも2XTは最高だなと読める。

ラジアル履いたら更に良化するんだろうなと期待出来る。(残念ながら今は整備前なので腐ったバイアス。)

そう、単純に2XTは、完成度が高い。全てが絶妙。

葛城はいろいろ単車乗ってますが、もし1台残すのであれば、この2XTを残しますね。
250ccなので、維持費の利点もプラスです。

本当に乗って楽しいです。

まだ整備前のノーマルで、そう思わせるこの単車はただものではないですよ。

後の3MAや3XVも凄いのは分かりますけど、やはり感覚的に葛城は2XT最強と感じます。

Vツインの方が中低域が強いでしょうし、倒立フォークやその他いろいろ分かるのですけど、
ヤマハといえばパラツインだと思いますし、極力ギミックが無いのが王道なんだと言い切れます。

88年だからこそ出来た、時代が作り出した名車です。

打倒何々ではなく、
「他所は他所。うちはこれでいく!」
という職人の誇りと意気を感じる名車です。

           さて整備録です。

実動車ではありましたが、整備無しで乗れる訳もなく...

いつものKさんの整備。

Kさん談
まあ、汚かったとの事。笑

まず、インナーは錆びているので、交換。
そして25000km走行車なので、ピストンとリングを交換。トシテックさんから。

ついでに色々エンジン系点検。
問題発覚!

YPVSがバカになっている。いわゆる辺摩耗って奴ですね。


YPVA1
1KT、2XTにはよくあるトラブルらしい。

問題は2XTだと部品が無いという点。
連結パーツだけ1KTのモノを加工して2XTに。性能に影響しないようにですね。

そうです。こんなところも1KTと2XTは違うのです。
YPVS2

YPVS3
       上が2XT。下は1KTのもの。

YPVSの受けのプレートも強化されたものに交換しました。これもトシテックさんの部品。

あとはこれという変更は無いですが、リアタイヤも交換。

今現在は、どノーマルです。
出来ればラジアルタイヤ履きたいですね。
そんなこんなで整備終了して、3000rpm縛りで慣らし。

低速トルクが増した。
YPVSが仕事するようになったのを体感。

慣らし終えて、高回転まで回してみる。
5000rpmからレッドまではさすがレーサーレプリカという感じ。

回転数と車速とエンジンフィーリングが絶妙で、街乗りが楽しい。

ホントこれ1台あれば、全部事足りるわ。

あとはチャンバーかなぁ。YUZO辺りがあればですね。

お持ちの方、購入させて頂きますよ。

2024.2.29 現在の設定
プラグ NGK(8番)
チャンバー ノーマル
タイヤ フロント TT900 
リア IRC
 ブレーキ ノーマル
バッテリー 台湾ユアサ
2ストオイル 不明
 リアサス ノーマル
 フロントフォーク ノーマル
ガソリン エネオスのハイオク
(燃費 約15㎞/1L)



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